夫に尽くしてきた主婦が外に出て感じたこととは
私が水商売に入りたての頃に仲良くなったおばちゃんの話
彼女も若い頃は飲み屋で働いていてそこにお客に来てた年上男性と恋に落ち結婚して義両親の住む彼の実家で同居生活を送ることに。
ところが付き合っていた頃は優しくて彼女のことを最優先で考えてくれていた夫や義両親だったけど彼女が一緒に住むようになると急に態度が変わって召使いの様に扱いだし、初めは夫のために一生懸命に耐えていたけどとうとう我慢できなくなって同居解消を申し出てみた。
「もう、このままの生活に耐えられない。あなたが仕事に行っている間、お義母さんからは掃除の仕方や料理の仕方、全てにケチをつけられてやり直しさせられるし、お義父さんからはお風呂を除かれたりして精神的に限界です」
すると夫から返ってきたのは冷たい一言だった「母さんからは学がない女だから花嫁修業させてるって聞いてるし、一緒に住んでるんだからおまえが我慢すれば済む話だろ」
それでも納得しないでいたら怒った夫から暴力を振るわれ、謝るまで許してくれなかった。
それが彼女には恐怖でたまらなくてそれ以来、私さえ黙って従っていれば平穏な日常が送れるとばかりに心を殺して義実家に尽くしてきた。
同居生活の闇
「世間知らずだったから、同居してる家はみんなこんな物との義母の言葉に騙されてたのよね」
そう言って笑いながら掃除のおばちゃんは義実家で受けたありえない仕打ちの数々を話してくれたのでした。
・法事で親戚を呼んだときに散々こき使われて食事についたら自分だけお膳が用意されてなかった。
・洗濯物を干したら自分の服だけ床に落ちていた
・生活費を余分に渡してもらえず、食費以外自分の靴や洋服はほとんど買えない
・料理の味付けが気に入らないと目の前で捨てられて自分たちだけ出前を取る
・義母に言われた片付けが終わってから冷めたお風呂に入っていた
この他にも様々な嫌がらせを受けてきたが家の中で波風立てなければいずれは幸せになれると黙って耐えてきたら3年目くらいで義父が病気で入院することに。
「そのお義父さんが家に帰ってきてからは介護も私が任されてそれは地獄だったわよ」
「お義父さんは病気で痩せて力が出ないからお風呂に入れず私が体を拭いたり、下の世話もしなくちゃいけなかったし」
当時まだ若かった私では多分耐えられない話に衝撃を受けました
お義父さんが程なくして亡くなったため、介護生活自体は短かったけど、義母は相変わらずだし家に居場所がなかった彼女を待っていたのは、夫の裏切りでした。
若い女に貢いでいた夫
義実家で壮絶ないじめに合いながらも10年間もの長い間耐えていた彼女の元へ、ある日知らない顔の若い女が訪ねてきて夫さんと離婚して欲しいと言ってきた。
聞けば3年以上の付き合いで夫からは「妻が家で我が物顔でのさばるから外で飲んでから帰るんだ、妻が離婚してくれるまでは君とは結婚できない」と言われているそう。
まさかの夫の裏切りに膝から崩れ落ちるとはこのことかと思ったが、義母は何故かその女に優しかったのが印象的だった。
帰ってきた夫に問いただしたら「おまえが家を出て行きたいと言うからだろ」と取り合ってくれず、ああ、この人たちはただ家政婦代わりに都合の良い女が欲しかっただけだったんだとようやく気がついた。
言われるがままに離婚届にサインをし、慰謝料ももらわずに家を追い出された彼女は、実家にも帰れず必死で働いて生活するはめに。
義実家を追い出されたその後
久しぶりに世間との交流を持ち、人と話すようになってから義実家での出来事が色々とおかしかったことに今更気が付いた。
彼女曰く、「今思えばパートでも良いから働きに出て世間との交流を持てばあそこまで騙されずに済んだのかもね」
狭いコミュニティの中でそのルールに従うばかりで自分がやってることが正しいとか正しくないとか考える判断力を奪われた状態だったから、一種の洗脳に近かった。
その後、浮気相手の女と元夫は結婚したみたいだったが、相変わらずその女を召し使いみたいに使ってるみたい、そういった意味では彼女もかわいそうだ。
「自分のことは自分で決めて一生懸命働いて生活する。これが自由だって気が付いたの」
そう言い放つおばちゃんの顔は幸せそうで、若いころの私には人生の達人に思えました。
同居が結婚の条件みたいな人とは気をつけた方が良いけど、どうしても仕方ないなら世間とのつながりを断ち切らない工夫をしてね。